ヨメさんが三男、立星(りゅうせい)を妊娠していたときの話。
家に帰ると
何の脈絡もなく
嫁さんがウクレレを弾いていた。
さあどうするオレ。
嫁がウクレレ。ウクレレな嫁。
ちなみに嫁さん(タルギ)はウクレレどころか
全く楽器を弾けない。
ハワイアンミュージックにハマっているとも
聞かない。
なのにいきなりウクレレを練習し始めた。
ポロローン♪
かなりご機嫌な様子。
えーと、どうしよう。
何だろう、この状況。
相変わらずナチュラルサプライズを仕掛けて来る。
「タルギさん、質問です」
「はい、タムケンさんどうぞ」
「お忙しいところすいませんが、
それ、ウクレレですね?」
「うい」
「急にどうされましたか?」
「弾きたくなったんです」
基本的にタルギは己の感覚に従って生きている。やりたいからやる。
それ以上でもそれ以下でもない。
多くの場合、私は初期段階で振り落とされる。
困った。今回は遠そうだ。
意思疎通できるだろうか。
「どうして弾いてるの?」
「安かったから」
ポロローン♪
響き渡るウクレレ。
どうも立ち寄った雑貨屋で安かったから買って帰ったらしい。
しかし普通あるだろうか。
雑貨屋で安かったからとウクレレを買い、
家に帰って練習することなんて。
なぜ山に登るのか?と訊かれて、なぜならそこに山があるから、と言った人のことを聞いたことはある。
ならばウクレレでも、もしかしたら・・・
ない。
それはない。普通ない。
そんなことがあればウクレレ業界は笑いが止まらないほどの生産に追いやられているはずだ。
しかし逆らってはならない。
女が感覚で動いているときに、
男が理屈や正論を述べてタダで済むわけがない。
伝家の宝刀
「何よその言い方!?」
を抜いて喧嘩モード突入。
理屈で戦う男、言い方で切れる女。
両者が永遠に交わることはない。
しかも短気極まりない韓国人。
かつ情緒不安定な妊婦である。
女×韓国人×妊婦 の掛け算は危険極まりない。
パルプンテよろしくの予測不可能状態。
ここは何もしないに限る。
コマンド → 何もしない。
タムケンは様子をうかがっている。
ポロローン♪
タムケンは様子をうかがっている。
パロロローン♪
何度目かのウクレレの音。
重大なことに気づいた。
左手って、そっち向きだっけ!?