「かゆいトコないですか?」と聞かれたら「当ててください」と言いたい

この世のすべてを笑いにかえて生きるタムケンによるブログ。過去の記憶、日々の思い、外国人の妻や障害(ダウン症)を持つ子供たちとの日常について、笑いとユーモアたっぷりのエッセイを中心に書いています。

幼稚園児のローキック一発でやられるパパ

花粉症のシーズンは、目が何かおかしいな、とは思っていた。

 

何やらつまづいたり、足元がおぼつかないことが多かっていた、のである。

 

とある春の朝。

 

通勤に使う駅の改札を抜けると、いつも乗っている電車が到着しており、このままだと乗り過ごしてしまう、でも階段を駆け下りればギリギリ間に合うタイミングだった。これまでに何度も遭遇した状況。何てことはない。階段を

 

とーん、とーん、とーん

 

と、一段飛ばしで駆け降りればいいだけだ。そう、それだけ。何の迷いもなく足を運んだ。

 

とーん、とーーー、???

 

軽快に降りられるはずなのに、足元がどうにも揺らいで揺らいで揺らいだ。

 

駅の階段から転がり落ちた。

 

足首が妙な角度に曲がって、スネから膝が階段に打ち付けられた。

 

ドガガガ!!

 

工事現場のような音が体の下から上がって来て、バランスを崩して手すりにぶつかって止まった。

その間2秒ほど。あまりに衝撃が大きく、声も出なかった。驚いて注目する周囲をよそに、よろめきながら電車に飛び乗り、空いている席に崩れ落ちた。

 

膝から下がべらぼうに痛んだ。なんでこんなことに?イメージ通りに駆け降りられなかった。筋力の低下?体調不良?老い??

色んな疑問符が浮かんだが、答えは出ない。つい先日も階段は難なく駆け降りたばかりだ。急におかしくなるはずがない。それにしても痛い。とんでもなく痛い。

 

もしや折れてるのでは?

 

折れていたら歩けるわけはないと思うかもしれないが、実はそうでもない。動物は危険な目に会って骨折や致命傷を受けても、危険な場所から離れるべく、直後は麻痺して動き回れるようになっている。余談だが、私はこの件の数年前に事故で腰椎を骨折したことがあるが、やはりその時も少しだけは動き回れた経験がある。しばらくして腰に痛みを感じると、はたりと動けなくなり、そのまま救急車で搬送された。多分同じ。その時と同じ。ヤバい。電車、降りられないかも。

 

ある程度痛みが治まってから、そっと足をそのばせると、幸い立ち上がることができた。うん。これなら大丈夫そうだ。

 

しかしまたなんで急に足元があやしくなったのであろうか?

 

その日の仕事を何とか終えて、家に帰ってから原因が判明した。

 

花粉症のゴーグルのせいだった。

 

私は割と重度の花粉症のため、JINSの度付きのゴーグルを使っていた。メガネの端に風よけがついているゴーグルは、思った以上に花粉を防いでくれており、外出がかなり楽になった。その反面、視界の端が歪んでたまに歩きづらさを感じていた。その結果が朝の醜態である。筋力の低下で転げ落ちたわけではないと分かって安心した。

 

やれやれ、と思ってメガネをかけると、階段で怪我を負い、血だらけになった足が見えた。痛い。めっちゃ痛い。

 

翌日、幼稚園児の息子達といつものごとくウルトラマンごっこをした。もちろん、怪獣役は私。

 

その日の怪獣はローキック一発で負けた。


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