「タムケン、面白いと噂で持ちきりのゲームを買ってきたよ!」
韓国人の嫁、タルギが興奮気味に言ってきた。
「ほほう、それは楽しみやな」
「楽しみ?本当に楽しみ?いや〜、いいゲーム見つけたのよ。これはなかなか面白いんじゃないかと思う」
「どんなゲーム見つけたの?」
「あのね、もうハラハラのドッキドキするヤツらしいよ。ワックワクするらしいよ!」
「それはすごいね。でも子どもたちとできるくらい安全なの?」
「それは大丈夫。安全なのにハラハラ・ドキドキ。かなり期待できるって噂で持ちきりなわけです!トレンド!もう話題沸騰中の最新式のトレンド的なヤツだそうでおま!」
どこで見つけたか知らないが、大興奮と期待が入り混じった、やや危険とも言えるテンションになっている。大丈夫か、タルギさんってば。こんな状態で道を歩いたら側溝とかにハマるのではないだろうか。
「さっそくやろう。何か賭けよう。そうだ、夕飯の洗い物を賭けるのだ!」
タルギは鼻息荒く子どもたちを呼び寄せた。
「いでよ、子どもたち!最新のゲームを体感せよ!」
上機嫌。韓国人の嫁、極めて上機嫌。
そして呼び集めた家族の前でゲームの正体をあかした。
そのゲームとは・・・。
「黒ひげ危機一発」
めっちゃ知ってるヤツがキタ!?
「あ、えと、タルギさん?わりと昔から」
「ふふふ。これぞワクワクドキドキ最新式のゲームなのよ♪」
「あの、えと、ママ?そんなに珍しくも」
「ここにね、剣を刺すとね、どこかの穴でだけヒットしてね、ピョーンって飛ぶらしいよ、黒ひげが♪ピョーンって!うふふ」
タムケン、子どもたちのコメントは全く聞こえていない様子。
うん、とりあえずやりましょうか。
聞いてもらえる感じでもないし。
箱を開封して黒ひげの設置完了。
「ようし、やるぞ〜。
もうママはね、黒ひげと一発やっちゃうぞ?やりまくるぞ?」
何か意味が違う!?
「タルギさん、黒ひげ危機一発やから。黒ひげと一発やる、だとエッチな意味になっちゃうよ」
「おかしいの?だってヒゲって黒いでしょ?」
いや、ヒゲの色を言ってるわけじゃないんだけど、と言いかけて止めた。
興奮し過ぎて何も耳に入らないだろう。
とりあえず黒ひげと一発やってもらうまでは全て諦めるしかなさそうだ。
結局。
次男チューペットが洗い物をするハメになりました。
(オレかい!って言ってた)
翌日。
三男 立星(りゅうせい)が刺す剣で遊んで、早くも数本無くしてしまい、黒ひげは再起"不能"になった模様。
(一本だけカーペットの下から発見)