「いいかタムケン、黒や激しい色合いのモノは落ち着いたインテリアの敵なんだ!我が家では黒い家電や家具は絶対にダメだからね!」
結婚して間もない頃、私が黒いハードディスクレコーダーを買った時のことだった。
タルギ(嫁さん)はそう断言した。
(お小遣いで買ったのに怒られた)
(その後、タルギはガンガンレコーダーを使い倒した)
以来、我が家の家電や家具は全般的にパステル調。または白、木目調、シルバーとなり、黒はご法度であった。
約10年後。
電子レンジ様がご臨終。
10年もの間、我が家の食卓の小料理を温め続けてくれた猛者が逝った。
無いと不便なので新しく買うことにした。
私は特にこだわりがないので一切を彼女に任せた。
しばらくして、タルギは楽天ポイントを使って購入した。
数日後。
私が昼間、会社で仕事をしている間に新しい電子レンジがやってきたとのこと。
さて、どんなのが来たのだろう。
家に帰り、開封して設置された電子レンジを見た。
漆黒だった。
ゲフッ!?
インテリアの敵と称され、絶対にダメと言われていた黒い家電が鎮座していた。
どういうことだ。
あれだけ怒られた私の立場はどうなる?
これいかにとタルギを問い詰めた。
なぜ電子レンジが黒なのか。あれだけインテリアの敵だと目の敵にしていたってのに。
彼女の答えは至ってシンプルだった。
「もう飽きちゃった」
自由やな君は!
悪びれもしない。
謝りもしない。
さすが中国に攻め落とされない韓国の血を引く女。この図太さが無いと大陸では戦えない。
「じゃあ黒は解禁やな。次からは俺も黒いデザインのモノを買うわ」
「アンタはダメや」
「何で俺はダメなの!?」
「だってダメだから」
そう。
ダメなのである。
なぜならダメだから。
女の気持ちに理由などないのである。