私の嫁さん、タルギは韓国人である。
釜山出身の彼女は外国人だからか、感覚がワールドワイドだ。
日本に来たばかりの頃。
ある日タルギは国際天気予報を見ていた。その予報のテレビ画面には世界地図が映し出され、東京、モスクワ、ニューヨーク、イギリスなど、北半球の僅かな都市の天気だけが映っていた。ソウルすら映っていない中、東京の晴れと言う予報を見てつぶやいた。
「明日の釜山は晴れやな」
「どうして?」
「だって近いやん」
「どこと?」
「東京と」
ワールドワイド!
東京が晴れなら釜山も晴れ。
近いのです。ご近所なのです。
世界地図では僅か数センチの距離。
テポドンも軽々届く。
難波と梅田ですら天気は違いますが、ワールドなタルギには無関係な距離です。
数年後。
車を運転するようになったタルギ。車に乗ると人の性格がよく出ると言われるが、何かと気の短い韓民族の娘。悪態つきながらの運転もちらほら。
ある日、前を運転する車がことのほか遅く、イラついたタルギはスピードを上げて追い抜いた。すれ違いざま、相手の顔を確認。追い抜いた車は彫りの深い外国人の男が運転していた。タルギは吠えた。
「ち!外国人かよ!道分かんないのか!
おっそいんだよ!」
あなたも外国人では!?
もはやネタとしか思えない。
兄弟で喧嘩しながら
「親の顔が見たいわ!」
と罵るようなものだ。
しかしタルギはマジである。
決してネタではない。
これがワールドワイド。
ザ ワールド。時よ止まれ。
さて。別の年の夏の話。
その夏は関東、北陸はたいそう天気が荒れた。
台風が何度も上陸し、各地に被害があった。
ところが関西はと言うと、ジメジメした天気が続くだけで、雨が降るわけでも、晴れるわけでもない。少し降って、洗濯物を濡らし、慌てて洗濯物を取り込むと雨は止む。湿度と温度は微妙に高いままを保ちつつ、そんな日が二週間は続いたところ・・・。
タルギが切れた。
突如として、曇天の空を睨み、窓ガラス越しに叫んだ。
「降るならさっさと降らんかい!鬱陶しいねん!」
誰に切れてんの!?
多分、天に切れたんだと思う。
しかしまさかお天道様に喧嘩を売るとは。
スケールが大きすぎる。
ワールドワイドを飛び越して、もはや神の領域である。
女は子供を産む度に神に近づくのかもしれない。
ちなみに年明けには3人目が生まれる予定。
ワールドワイドなタルギは更に高みに登るのか??
そんなタルギの話はどこまでも尽きないので今日はこの辺で。
アンニョ〜ン