「かゆいトコないですか?」と聞かれたら「当ててください」と言いたい

この世のすべてを笑いにかえて生きるタムケンによるブログ。過去の記憶、日々の思い、外国人の妻や障害(ダウン症)を持つ子供たちとの日常について、笑いとユーモアたっぷりのエッセイを中心に書いています。

人の名字にケチをつける嫁

私の嫁、タルギは韓国人だ。

私と結婚して日本に移り住んだ。

でも国籍は韓国のままだ。

国際結婚したら、どちらかの国に帰化するのが普通と思うかもしれないが案外そうでもない。

 

これは国際結婚する夫婦の考え方によるが、

日本人の旦那が病気や事故で死んでしまった場合、外国人の嫁さんが帰化して日本国籍になっていると簡単には母国に戻れなくなる、と言う問題があるのだ。それだと困るので、日本国籍帰化しないままにしている夫婦も多く、ウチらもそのタイプ。

タルギの韓国人としてのプライドが高すぎるから、では無い。多分。

そんなわけでタルギは韓国籍のままで、姓も韓国名のままで、結婚してはいるが私の戸籍には入っていない。

 

ある休日の昼下がり。

 

三男の立星(りゅうせい)がスヤスヤとお昼寝をしていた。

我が家ではいつもの光景だが、立星は見ている方が「脱臼しているのでは?」と心配になるくらいの体勢で寝る。

赤ちゃんは誰しも体が柔らかいものだが、ダウン症の子は筋肉が少ないせいか、とりわけ体が柔らかい気がする。

 

この日も、開脚前屈よりさらに厳しい、インドの苦行僧のような体勢で、立星は気持ちよさそうに眠っていた。

なかなかシュールな光景だ。面白い。

 

それをタルギと2人で見ていたところ、タルギが私に問いかけた。

 

「タムケン、あんたの名前が気に入らんわ」

 

どうしちゃったの!?

 

タルギの問いかけはいつも唐突。

思いついたらすぐに口にする。

頭の中で考えていることの続きを、説明なしで話す。

子供の寝顔とは無関係だけどね、とか、前々からアンタの名前に関して何か思うところがあったとか、雑誌の占いで気になることがあったとか、そんな前置きは一切ない。単に思ったからぶつけてくる。曰く。

 

アンタの名前が気にくわん

 

見えない角度から急所へのパンチ。

危うく膝から崩れ落ちるところを何とか耐え忍んだ。

ここは日本人の、いや良識者の代表として、正攻法で対処せねば。

 

仮に私の姓は森田(仮称)と言うことにしよう。

 

ここで下手な対応をすれば、我が森田家の面子が丸つぶれだ。ただの一般家庭だが、多分、遡ったらどこかの何たらと言う侍くらいには行き着くかもしれない。

 

「また唐突やね。何が気に入らないの?」

「だって貧ぼっちい名前やもん」

 

酷いこと言うな、この嫁は!

 

名前に貧乏とかってあるのか!?

いや、確かに富豪っぽい名前とか、地主っぽい名前とかはあるが、森田が貧乏な名前だなんて初めて言われた。仮に思っていても言ってはいけないのではないだろうか。

何気にかなり酷いこと言ってないか?

しかしそこまで言うのはなぜだろう。

 

「タルギさん、何てこと言うのさ。

 森田家の一族を敵に回すことになるよ」

「それは困るわ。

でも森田なんて貧ぼっちい名前だと思わない?」

「そうかなぁ?確かに金持の名前ってわけじゃないけど、貧乏ってほどでもないと思うよ。どうしてそう思うの?」

「だってさ、名前に『田んぼ』と『森』しか無いもん」

 

そういう名前ですから!

 

日本人の名前なんてほぼこんなもんだ。

田んぼ、村、山、谷、野、川なんかの自然を表す文字に、上中下、大小、東西南北を組み合わせているものが多い。

他に何を求めるのか。

そもそもキム、チェ、パク、チョン、イの5姓だけで国民の大半をまかなっている韓国人に言われたくはない。

 

あれ?

もしかしてタルギが帰化しないのって

日本の姓が貧っちいから?

 

タルギが日本人に帰化する前には、

私も『伊集院』とかに改名する必要があるかもしれない。

 


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