仕事から帰ると、コップに少しだけ、飲みかけのコーヒー牛乳がテーブルに置かれていた。タルギ(嫁さん)はシャワー中の様子。
タルギはコーヒー牛乳が好きで、よくコーヒー牛乳を飲んでいるが、その飲みかけのようだ。
甘いコーヒー牛乳は子どもたちも大好き。風呂上がりで座っていた三男の立星(りゅうせい)にコップを渡すと、美味しそうにグビグビと飲み干した。
シャワーからあがったタルギ。
冷蔵庫からコーラを出して、プシュ~といい音を立てて栓を開け、ごくごく飲みはじめた。タルギは酒を飲まない。甘いものも食べないが、たまにコーラやサイダーを飲む。風呂上がりに何か飲むのが美味しいのは誰でも同じ。
ある程度飲んで喉の乾きを癒やしたタルギ。何かに気づいた。
「あれ?ここにあったコーヒー牛乳は?」
「ああ、ちょこっとだけ残ってたやつ?
立星にあげたよ。喉、乾いてたみたいだったから」
「飲んじゃったの?全部!?」
「え?うん、だって少しだけだったし」
「何てことしてくれるのさ!楽しみにしてたのに!私はコーヒー牛乳大好きって知ってるでしょ!」
意外な勢いで怒り始めた。
「いや、ごめん。けど俺が飲んだわけじゃなくて、立星にあげたから許してよ」
「関係あるか!人の飲み物を勝手に飲んだりあげたりしたらいかんやろ!」
なかなかの怒りの熱。
まったくもう、信じられない。
酷いことをするわ、ウチの旦那は。
人のコーヒー牛乳を。
コーラを飲み、悪態をついて、またコーラを飲みのループ。
あーだこーだと言いながらしばしご立腹。
まさかコーヒー牛乳ふた口程度でここまで怒られるとは思わなかった。
しかしタルギさんに一言だけ言いたい。
あなたが当たり前のように今飲んでいるそのコーラ、
俺が買って置いてたやつなんですが。