「かゆいトコないですか?」と聞かれたら「当ててください」と言いたい

この世のすべてを笑いにかえて生きるタムケンによるブログ。過去の記憶、日々の思い、外国人の妻や障害(ダウン症)を持つ子供たちとの日常について、笑いとユーモアたっぷりのエッセイを中心に書いています。

タルギの死に様

私は医学系や健康系の番組が好きで、割とよく見る。

元々生き物が好きで生物学を専攻していたので、人の体で起こっている現象ならどんなことでも見ていて面白い。

 

一方、タルギ(嫁さん)はバリバリの文系で、言語能力や歴史に関しては詳しいものの、医学どころか生き物の知識は全般的に怪しい。

 

その時私が見ていた番組は、老いてからの健康寿命についての特集が紹介されていた。健康寿命、つまりなるべく死ぬ直前まで元気に動き回れるのが理想だよね、と言う内容。確かにその通り。

番組を見ながらタルギが呟いた。

 

「あー、私もなるべく元気なままで、

   ある日ポッコリ死にたいわぁ」

 

ポッコリ!?

 

ぐうう。

なかなか良い球投げるじゃないか。

お腹が出るくらい太って死にたいのか?

そうなのか??

危うく「そりゃポックリでしょ!」と突っ込むところだった。危ないアブナイ。

ここで慌てて突っ込んではダメだ。

この素敵な勘違いが終わってしまう。

関西人が生まれつき備えている、突っ込みと言う本能をギリギリと奥歯を噛み締めながら我慢していたら、タルギに気づかれた。

 

「何よタムケン、またバカにしてるの?

  私おかしなこと言った?」

「いや、何も言ってないよ」

「ウソだ!なんかニヤついてるもん!」

「だってどんな死に方するのかなぁって思ったら、

ついつい笑いがこみ上ブフゥ!」

 

笑ってしまった。

 

「私の死に方が何よ!

  ポッコリ死ぬのがそんなにダメなわけ!?」

 

だからどんな死に方ですか!?

 

爆笑してしまった。我慢できん。

無理。もう無理。

 

そしてタルギもようやく気づいた。

ポッコリではないことに。

 

「分かった。そう言うことね。

  ポッコリが間違いなわけね。

  そりゃ笑いたくもなるわよね。

  お腹出て死にたい人なんていないものね。

  あははは!」

「そう。やっと分かってくれたのね。

  それはそれで何やら寂しいんだけど、

  分かってくれて良かったよ。

  で、どんな風に死にたいわけ?」

 

モッコリ死にたい!」

 

モッコリしちゃうの!?

 

どんな死に方だ。

我が嫁ながらボケの底が知れん。

どんな死に方だ、女がモッコリしながら死ぬって。

そんな興奮した状態で死ねるのだろうか。

死んでるのか?

それって死んでるのか??

 

タルギさん、私は必ずアンタの後に死ぬよ。

どんな死に様か絶対見届けたいので。